2028年に向けて考えていること。組織と社風、そして自由な働き方
最近、これから会社をどのような姿にしていきたいのか、よく考えています。
事業の成長や売上、利益とともに、私の中で大きなテーマになっているのが、ここで働く人たちの暮らしです。仕事に責任を持ちながら、家族との時間を大切にし、自分に合った場所で生活する。そのような働き方を、会社として少しずつ実現していきたいと思うようになりました。
働き手が減っていく中で、意欲や能力のある人が、それぞれの力を発揮し続けられる環境づくりは、これからますます大切になると感じています。
人には、それぞれのライフステージがあります。子育て、家族の介護、体調の変化などによって、働き方の調整が必要になる時期もあります。会社に柔軟性があれば、それまでに培った経験や能力を生かしながら、仕事を続けられる可能性が広がります。
現在、当社には中国で働いている社員もいます。そうした働き方を身近に見る中で、仕事をする場所と暮らす場所には、もっと選択肢があってよいと感じています。
地域によっては生活費を抑えられ、住まいにもゆとりが生まれます。自分に合った生活のペースを保ちやすい場所もあります。地元で暮らしたい人、両親の近くに住みたい人、子どもの成長に合った環境を選びたい人。それぞれに大切にしたい暮らしがあります。
仕事を円滑に進められる条件が整うのであれば、その選択を会社として支えたいと思います。そして会社にとっても、さまざまな地域の人材と出会い、国や地域を越えたチームを育てていく機会になります。
通勤時間についても、最近よく考えます。
毎日、往復で2時間を通勤に使うとすれば、長い年月では大きな時間になります。その時間を、子どもと過ごすこと、学ぶこと、運動すること、あるいはゆっくり食事をして休むことに使えたら、日々の暮らしはかなり変わるはずです。
仕事の効率が上がることで生まれた余裕を、社員の生活にもつなげていきたい。心身にゆとりがあることは、仕事と家庭の両方に向き合う力にもなると思っています。
特に、子育て中の社員にとって、時間の柔軟性は大切です。
仕事に加えて、育児の多くを担っている女性もいます。子どもが急に熱を出す、学校から連絡が来る、送迎の時間と仕事の予定が重なる。こうしたことは、日常の中で実際に起こります。育児は父親や家族、社会全体で支えていくことが必要です。その中で、経営者として会社にできることを考えていきたいと思っています。
家族のことで対応が必要になったときに、社員が過度な不安を抱えずに済むようにする。そのための仕組みを、会社として用意しておきたいのです。
こうした思いから、2028年に向けて、テレワークを安定して実践できる国際的な会社を目指したいと考えています。
それぞれが自分に合った環境で働き、成果や仕事の質、責任ある行動、チームへの貢献によって評価される。そして、自分で考え、工夫しながら仕事を進められる会社にしていきたいと思います。
その実現に向けて、最も大切な前提となるのが、健全な組織体制の構築と、それを支える社風の醸成です。
ここは、時間をかけて取り組む必要があると感じています。
組織体制は、日々の仕事の中で機能するものでなければなりません。会社が目指していること、各チームの役割、一人ひとりが責任を持つ成果、自分で判断できる範囲、相談や承認が必要な場面。それらが明確で、社員に理解されていることが大切です。
責任を担う人には、それに見合う権限も必要です。仕事を進めるたびに上司の判断を待つ状態では、自ら考えて行動する力を十分に発揮できません。管理職は、方向性や判断基準、守るべき範囲を伝えたうえで、実際に任せていくことが求められます。
私自身も、任せ方を学び続ける必要があります。会社の仕事が特定の人に集中しすぎず、チームとして判断し、動ける状態を育てていきたいと思っています。
業務の流れと情報共有も、組織づくりの重要な部分です。
お客様との話がどこまで進んでいるのか。見積もりの根拠は何か。受注した案件が今どの段階にあり、次に誰が何をするのか。そうした情報が、正確に記録され、必要な人が確認できる状態をつくる必要があります。
ほかの社員が引き継ぐときにも、資料を見れば背景や経緯を理解でき、仕事を続けられる。こうした準備が整えば、何度も確認する手間や待ち時間も減り、より価値のある仕事に力を使えるようになります。
私が特に大切にしたいのは、お互いに支え合えるチームの仕組みです。
例えば、子どもの体調不良で社員が一時的に仕事を離れることになったとき、共有された情報をもとに、別の社員がその日に必要な対応を引き継ぐ。責任者は、ほかの仕事の優先順位や期限を調整する。本人は安心して家族に対応でき、引き継ぐ側も自分の役割を理解し、お客様への対応も続けられる。そうした状態を目指したいと思います。
そのためには、人材育成や引き継ぎの準備に加えて、予期しない出来事に対応できる余力も必要です。全員の予定が常に埋まり、何かが起きるたびに残業で対応する状態では、働く場所を変えても、生活のゆとりにはつながりにくくなります。
評価の仕組みも、合わせて整えていく必要があります。
事業の成果、納品や対応の品質、問題の解決、リスクの予防、同僚への支援。会社には、さまざまな形の貢献があります。新人を育てること、経験を共有すること、業務の進め方を改善することも、会社の将来に関わる大切な仕事です。
それぞれの役割や置かれた状況、無理のない業務量を踏まえて目標を設定し、会社として必要な支援を行う。同時に、働く時間や負担にも目を配り、十分に休めるようにする。そのような運用があってこそ、成果を中心とした評価にも納得感が生まれると思います。
組織の仕組みを日々の行動につなげていくうえで、社風が果たす役割はとても大きいと感じています。
私が育てたいのは、率直に話し合い、お互いを尊重し、共通の目標に向かって責任を持てる社風です。
困ったときには、早い段階で相談できる。リスクに気づいたら、周囲に伝えられる。今のやり方に疑問があれば、自分の考えを話せる。管理職はその声を受け止め、問題を整理し、必要な人や情報をつないでいく。失敗が起きたときには、原因を確かめ、仕事の進め方を見直し、次に生かしていく。そのような習慣を積み重ねたいと思っています。
社員一人ひとりには、仕事の目的を理解し、よりよい方法を考えられるようになってほしいと思います。そのためには、会社が安心して意見を出せる環境をつくり、管理職が根拠のある異なる意見にも耳を傾けることが大切です。
信頼も、会社と社員の双方が育てていくものだと思います。
会社は柔軟性と裁量を持って働ける環境を用意する。社員は、約束した仕事を丁寧に進め、必要な情報を共有し、周囲が安心して協力できるようにする。その積み重ねによって、信頼が日常の働き方として根づいていくのだと思います。
テレワークが広がるほど、こうした社風を意識して育てる必要があります。
新人には相談できる相手がいて、困っている人には支援が届く。異なる地域で働く社員にも、話し合いに参加し、重要な仕事を任され、成長する機会がある。どこで働いていても、自分がチームの一員として尊重され、必要とされていると感じられる会社にしたいと思います。
AIとデジタル化も、この構想を実現するための重要な条件です。
情報を正しく記録し、共有し、活用できる環境を整えること。そしてAIを使って繰り返しの作業を減らし、分析やコミュニケーション、問題解決の力を高めていくことが必要です。
同時に、情報の確かさを確認し、AIの出力を検証して、最終的な仕事に責任を持つ力も育てていかなければなりません。
会社として、必要なツールや研修、実践する機会を用意し、学ぶことを仕事の中に組み込んでいきたいと思います。管理職も一緒に学び、業務の流れや役割分担を見直していく。組織、人材、技術を、並行して育てることが大切です。
2028年に向けて、まずは取り組みやすい業務やチームから実践し、お客様への対応、仕事の質、協力のしやすさ、社員の暮らしにどのような変化があるかを確かめながら、少しずつ広げていきたいと考えています。現場で行う必要がある仕事についても、役割に合った柔軟性や負担を減らす方法を考えていきたいと思います。
会社を経営することには、人が長く安心して力を発揮できる環境をつくる意味もあると、最近強く感じています。会社が健全に成長し、社員にも成長の機会があり、自分や家族を大切にできる。そのような関係を育てていきたいと思っています。
成熟した組織と良い社風、そして学び続ける力を土台に、自由な働き方を安心して選べる会社へ。これは、これから私自身が責任を持って取り組んでいきたいテーマです。