NORTH / BORDERLESS
MANAGEMENT / TEAMLONG READ / JP

「信頼できる人」とは、どんな人か

——あるBLOGを読んで考えた、4つの共通点とHDGの今

最近、あるBLOGで次の言葉を目にしました。

仕事における最大の幸福は、信頼できる仲間と、意味のある仕事をすることだ。

とてもシンプルな言葉ですが、会社を経営し、さまざまな人と仕事をするほど、その重みを感じます。

以前の私は、「信頼できる人」とは、能力が高い人、行動が早い人、あるいは約束したことを期限までに終えられる人だと考えていました。もちろん、それらは大切です。しかし、事業が増え、関わる人が増え、組織の連携が複雑になるほど、それだけでは十分ではないことが分かってきました。

能力があるということは、「できる」ことを示します。一方、信頼できるということは、状況が順調なときも難しいときも、目的、時間、周囲の人、そして結果に対して責任を持ち続けられるということです。

HDGが今置かれている段階を考えると、信頼できる人には、共通して四つの特徴があるように思います。

それは、自走力、時間への感度、共感力、そして学び続ける姿勢です。

1.自走力――「やらされる」から「自分が進める」へ

自走力とは、毎日忙しそうにしていることでも、上司がいないときにも働いていることでもありません。

本当の自走力とは、自分の仕事が何のためにあるのかを理解し、指示を待つだけでなく、自分から結果に向かって仕事を前へ進める力です。

受け身の人は、次の指示を待ちます。

「次は何をすればいいですか」

「誰が担当なのですか」

「まだ連絡が来ていないので、何もしていません」

一方、自走する人は、問題を見つけたときに次のように考えます。

これは、「やるように言われたから動く」状態から、「自分がこの仕事を前に進める」状態への変化です。

自走力の根にあるのは、使命感だと思います。使命感は、必ずしも大きな言葉で語る必要はありません。北海道にある本当に価値のある商品を、より広い市場へ届けたい。自分の仕事を通じて、顧客や取引先、仲間を少しでも良い状態にしたい。そうした思いも、立派な使命感です。

自分の仕事が、より大きな目的とつながっていると理解できれば、行動の源は上司の指示や評価だけではなくなります。自分の中から、仕事を前へ進める力が生まれます。

ただし、自走は独断ではありません。報告をしないことでも、自分の考えだけで進めることでもありません。共通の目的、正確な事実、明確な責任の上に成り立つものです。

HDGで大切にしたい行動の循環は、次のようなものです。

事実に向き合う。素直に受け止める。自分で次の一歩を決める。結果に責任を持って振り返る。そして、得た経験を仕組みに残す。

会社がいつまでも少数の人の頑張りに依存し、すべての仕事に催促、確認、手直しが必要なら、売上が増えても組織は成長しません。

HDGが目指すべきなのは、「一部の人だけが非常に優秀な会社」ではなく、一人ひとりが自分の持ち場で問題を見つけ、考え、動き、結果を引き受けられる会社だと思います。

2.時間への感度――すべてを急ぐのではなく、価値の高い仕事を先にする

信頼できる人は、時間に対する感度が高いものです。

ここでいう時間への感度は、遅刻をしない、返信が早いというだけではありません。限られた時間を、最も価値の高い仕事に使おうとする姿勢です。

会社では、「忙しいこと」と「貢献していること」が混同されやすくなります。会議が多い。連絡への返信が多い。目の前の依頼を次々と処理している。本人は一日中努力しています。

しかし、その仕事が顧客価値を生まず、利益やキャッシュを改善せず、重要案件を前進させず、組織に再利用できる成果も残していないなら、その忙しさは低効率な循環になっている可能性があります。

今のHDGには、多くの機会があります。事業領域も広がり、挑戦したいテーマも増えています。しかし、人、資金、時間は無限ではありません。だからこそ、「できるかどうか」だけでなく、次の問いが必要です。

効率とは、すべてを速く処理することではありません。価値の低い仕事を見極め、限られた時間を価値の高い仕事へ移すことです。

そして、方向が決まったら、行動は速くなければなりません。すべての条件が整うまで待つのではなく、小さく試し、早く反応を得て、違っていれば修正する。間違いを恐れて動かないことより、検証できる範囲で動き、学ぶことのほうが大切です。

管理者には、さらに高い時間感覚が求められます。管理者が毎日、個別作業と火消しだけで終わっているなら、どれほど忙しくても、優先順位を決める、部下を育てる、仕組みを改善する、繰り返す問題をなくすという役割を果たせません。

管理者の価値は、自分が何件処理したかではなく、チームが最も重要な仕事をやり切れる状態をつくれたかで決まります。

3.共感力――相手を理解して、初めて価値をつくれる

三つ目は、共感力です。

仕事は能力と成果で評価されるものだと考えがちです。しかし、関わる人が増えるほど、共感力のない能力は、組織に大きな負担を生むことがあります。

頭が良く、行動も速い。それでも、自分の立場からしか物事を見られなければ、自分の都合を誰かの負担に変え、問題が起きたときには責任を外へ押し出してしまいます。

本当の共感力とは、単に優しいことでも、耳当たりのよい言葉を使うことでもありません。一度自分の立場を離れ、相手が何を必要とし、何に困り、何を不安に感じているのかを考える力です。

顧客に対しては、自分たちの商品をどう売るかだけでなく、顧客が本当に解決したい課題を考える。

仕入先や生産者に対しては、こちらの要望を伝えるだけでなく、生産能力、原価、品質、納期といった現実を理解する。

同僚に対しては、「伝えたから終わり」ではなく、目的、期限、完成基準が伝わっているか、相手が仕事を進めるための情報や条件がそろっているかまで考える。

HDGは、北海道の商品や生産者、国内外の顧客、異なる文化や商習慣を持つパートナーをつなぐ仕事をしています。外へ広がるほど、共感力は重要になります。

事業とは、相手に価値を届け、その対価として自分たちの価値も認めてもらう営みです。相手を理解せずに、本当の価値をつくることはできません。

ただし、共感は、基準を下げることでも、相手の責任をすべて代わりに背負うことでもありません。

相手の事情を理解しながら、目的、責任、期待する基準を明確にする。困っているときには方法と支援を示し、それでも本人が果たすべき責任は曖昧にしない。

支援のある高い要求は、人を育てます。方法のない強い圧力は、人を消耗させます。

HDGに必要なのは、自分一人が高い成果を出す人だけではありません。周囲が力を発揮できる状態をつくり、チーム全体の価値を高められる人です。

4.学び続ける姿勢――本当の学習とは、自分を修正すること

四つ目は、学び続ける姿勢です。

市場、技術、顧客の期待は、驚くほど速く変化しています。今日持っている経験が、明日もそのまま正しいとは限りません。特にAI、データ活用、海外市場が大きく変化する時代には、過去に成功した方法ほど、無意識の思い込みになることがあります。

信頼できる人は、過去の成功を理由に、自分だけが正しいとは考えません。事実、データ、周囲からの意見を受け止め、自分の判断が違っていれば修正します。

私が大切にしたい「素直さ」とは、何でも従うことではありません。自分の考えを持ちながら、その考えを事実の前で検証し、必要なら変えられる強さです。

本を読み、研修に参加し、情報を集めても、行動が変わらなければ、組織にとっての学習にはなりません。

学びは、次の循環を通じて初めて力になります。

1. 新しい知識や方法を知る。

2. 実際の仕事で試す。

3. データと結果で確かめる。

4. ずれがあれば、すぐに修正する。

5. 有効だった方法を、手順や仕組みとして残す。

この循環によって、個人の経験は組織の能力に変わります。

HDGがSCMPLUS、AI、そのほかのデジタルツールを使う目的も、システムを増やすこと自体ではありません。事実を見えるようにし、判断の根拠をそろえ、重複作業を減らし、経験を共有し、チームの学習速度を上げることに意味があります。

これからの競争では、今知っていることの多さ以上に、学ぶ速さ、修正する速さ、そして学びを結果へ変える速さが問われます。

信頼できる人を求めるなら、会社も信頼できる環境をつくらなければならない

四つの特徴について考える中で、もう一つ重要なことに気づきます。

社員だけに「信頼できる人になってほしい」と求めても、組織の環境がそれを支えなければ、自走力は育ちません。

目的が曖昧で、責任の境界もなく、必要な情報にアクセスできず、評価基準がその都度変わる。そうした環境では、自走する人ほど混乱の調整に追われ、やがて力を失ってしまいます。

HDGが信頼できる人を育てるためには、会社自身も信頼できる組織にならなければなりません。

なぜ行うのか。何を優先するのか。誰が責任を持つのか。いつまでに、どの状態まで完成させるのか。どの数字と事実で結果を判断するのか。これらを明確にする必要があります。

重要な情報を誰か一人の頭の中に置かない。良い経験を、その人がいなくなると消えてしまう状態にしない。個人の経験を共通の仕組みに変え、経営者や管理者が押し続ける組織から、チームが自ら動く組織へ変えていく。

「管理が消える」とは、管理を放棄することではありません。共通の目的、行動基準、責任感が一人ひとりの中に入り、催促しなくても仕事が前に進む状態をつくることです。

「信頼できる」を、HDGの日常行動にする

抽象的な価値観だけでは、組織は変わりません。「信頼できる人」を日々の行動に置き換えるなら、HDGでは次のような習慣が必要だと思います。

1. 仕事を始める前に、目的、責任者、期限、完成基準をそろえる。

2. 依頼された順ではなく、顧客価値、利益とキャッシュ、将来への蓄積を基準に優先順位を決める。

3. 問題は小さいうちに共有し、自分なりの見立てと次の案を添える。

4. 終了後は、誰が悪かったかではなく、次回どうすればより良くできるかを振り返る。

5. 成功も失敗も、手順、テンプレート、データとして残し、次の人がゼロからやり直さなくてよい状態にする。

6. 管理者は不要な統制を減らし、方向を示すこと、人を育てること、資源を調整すること、障害を取り除くことに時間を使う。

こうした行動が日常になれば、「信頼できる」は曖昧な人物評価ではなく、誰もが理解し、実践し、確かめられる組織能力になります。

最後に――まず、自分は信頼される人であるか

このBLOGを読んで、私が最も考えさせられたのは、信頼できる人とは、生まれつきの性格ではなく、日々の選択によってつくられるということでした。

問題が起きたとき、誰かが動くのを待つのか、自分から一歩を踏み出すのか。

仕事が重なったとき、すべてに同じ力を使うのか、最も価値の高いものを選ぶのか。

人と意見が違ったとき、自分の立場だけを守るのか、相手が何を必要としているかを考えるのか。

成果が出たとき、過去の方法に固執するのか、謙虚に学び続けるのか。

その一つひとつの選択が、「この人と長く仕事をしたい」と思ってもらえるかどうかを決めます。

今のHDGには、目標も機会もあります。次に必要なのは、一人ひとりの努力を安定した成果へ変え、個人の能力を組織の能力として残し、短期の機会を長く続く事業へ育てることです。

会社の本当の競争力は、商品、販路、資金、技術だけではありません。自ら動き、時間の価値を理解し、相手の立場を想像し、学び続けられる人が集まり、互いを信頼して仕事ができることです。

仕事における最大の幸福は、確かに、信頼できる仲間と意味のある仕事をすることだと思います。

しかし、その幸福は偶然に与えられるものではありません。皆でつくるものであり、まず自分自身に問いかけるところから始まります。

私は、周囲の人にとって、安心して仕事を任せられ、一緒に遠くまで歩いていける人だろうか。